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サバイバートが現在進行中のドキュメンタリー映像「アートとお金」の、インタビューや関連情報等を蓄積していきます。
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Survivart: Independent Organization for Contemporary Art
by art-and-money
What's this Blog?
東京のインディペンデントなアート・オーガニゼーション、Survivart(サバイバート)が2008年から5年をかけてすすめる、ドキュメンタリー・ムービー・プロジェクト「Art and Money」の活動を随時公開するためのブログです。お金とアートにまつわる独自インタビューのほか、ウェブ上で閲覧可能な情報の収集等を進めていきます。

This Blog is organized by Survivart which is an independent art organization based in Tokyo, to archive the all activities of the documentary movie project "Art and Money" around East Asia from 2008 to 2012.
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Interview: 倉田陽一郎さん
Interview: 倉田陽一郎さん_f0193273_115165.jpg倉田陽一郎|Youichiro Kurata
シンワアートオークション代表取締役社長
1965年2月、三重県鈴鹿市生まれ。87年、東京大学経済学部卒業後、エス・ジー・ウォーバーグ証券会社に入社。その後、ウォーバーグ投資顧問、メースピアソン投資顧問でファンドマネジャーとして投資業務に携わった後、97年にミネルヴァ投資顧問を設立。98年、第一次小渕内閣の金融再生担当大臣の金融アドバイザーとして政務秘書官に就任。2001年より現職に就任し、オークションの運営を通じた日本の"社会革命"に乗り出す。
http://www.shinwa-art.com/

取材日 :2008年7月22日(火)
取材場所:シンワアートオークション本社内




※以下インタビューより抜粋

●質問:日本のアートオークションの現状は?
日本のアートオークションは世界と比べて非常に歴史が浅い。ようやく1990年代から20年かけて定着してきた。日本の場合、近代美術作品を中心に換金市場として発達し、2000年に入ると、90年代からのデフレに苦しむことになったが、オークション会社は基本的に手数料をもらう仕組みなので、取引料をきちんと成立させて行くことで、なんとか乗り切った。
日本のアート市場を全般的に見ると、ここ5年くらい横ばいになっている。なので、純粋にアートが好きな人だけが集まる市場になってきている。アートが盛り上がり、韓国のオークション市場は2〜3年で3〜4倍に市場が拡大したことを見ると、日本の市場は極めて冷静だと思う。日本の場合、心理的にもコレクターにしても消費者にしても、アート市場にネガティブなイメージを持つ傾向がある。具体的には、現在の美術品の価格はバブル時の10分の1や20分の1といった価格にしか過ぎない。近年少し市場が上がり、2倍になりましたといってもピークの10分の2程度にしかなっていない。現状が2倍になった程度を見て、アートは今バブルだなどという声も聞こえるが、そのような意見を持つ方々の殆どは、あのバブルの頃を忘れてしまったのではないか。バブルとはこの程度のレベルではなかった。もしくは、バブルのトラウマに捕われるがあまり、次の大きなステップに踏み込めずにいるような気がする。バブルの後遺症をしっかりいやせる迄、日本の市場にエンジンはかからないのではないか。
そうった中で我々は2年くらい前からコンテンポラリーアートを研究して市場に積極的に取り込もうとしている。ターゲットは20代、30代、40代の新しい経営者層や、新しい資産家層など、新しいタイプのコレクターである。それらが今コンテンポラリーアートを求めだしている。彼らはバブルの痛手を受けずに、逆に何もないところから登ってきた世代だけに、バブルのトラウマがなく、旧来の消費者とは違う感覚を持っている。安くなっても怖くて手が出せない近代美術愛好家の一世代前の消費者やコレクターとは違い、今のコンテンポラリーアート市場は成長しつつある。しかし、総合的に見た場合、市場自体が大きく成長しているとは必ずしもいえない。

●質問:オークションに参加する目的は、投資か?愛好か?
根本的にはアートが好きだから買うというのが殆どだろう。投資目的は極限られた需要なのではないか。結果的にコレクターはいい目を持って、いい作品を持っていたら儲かってしまう。売ってしまえばの話だが。実際、計らずしも利益を上げてしまったコレクターもいると思う。しかし、美術商などを考えれば、彼らは投資家であり、投資目的で作品と買うとなれば、そこの仲間に入るか否かということだと思う。ただ、個人で美術品を投資目的で購入したという人はまず聞いたことがない。現実問題としても幻想に近い。結局、画商などの業者に負けてしまう。より早く、より良い状態で、高いバリューの作品を引き出し、なるべく早い段階でリターンを回収して行く事を素人が出来るだろうか。片手間でやる仕事としてはお薦めできない。

●アートは産業となり得るか?
産業というのは3000億円規模があれば、産業という感覚も持てるが、今の日本のオークション業界は200億円もない市場規模。アートフェアは売れて10億程度。これはビジネスであって、現段階では産業とは言い難い。だがこれからは、アートオークションの市場規模もアジア全体で1000臆くらいは見込めるだろうし、アートフェアも数百億という単位で作品を販売するようになると、市場としても健全になるのではないかと思う。今の段階では市場自体が萎縮しているので、アジアからの刺激が上手く日本市場を盛り上げるきっかけになればと思う。

●これからのアート市場について思う事は?
東京はアジアの中心に成りうるかというと残念ながらそれはないだろう。しかし、北京を中心とするアジアの一局としての東京はありえる。高いインフラがそれを裏付ける。また中国は歴史的にも他民族をきちんと評価することの出来る民族であると思う。実際中国では数多くの日本人建築家が活躍している。将来的には北京を中心にアートが花開き、日本人の天才が活躍する事もありうるだろう。以前のパリの様に、ピカソやシャガールなど、世界中から人が集まるはず。パリの次はニューヨーク、その次が北京だと思う。

(tatsuya ito)
by art-and-money | 2008-07-22 00:44 | 03: Interview

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